第36回サイエンスカフェ@ふくおか 活動報告

みんなと"アロマテラピー"をつなぐ第36回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

 

第36回ポスター

 

サイエンスフェ@ふくおか、第36回のテーマは「アロマテラピーは科学だ!〜香りのパワーと抽出技術に迫る〜」です今回はアロマテラピーの歴史と科学、そして最新の抽出技術に迫りました!!

今回もBIZCOLIさんの知的な空間をお借りしました!

また、たくさんの方にお越しいただきました。

常連の方も、初めていらした方も、ありがとうございます!

会場中が終始素敵な香りに包まれていました♪

 

今回の講師は、福岡大学工学部化学システム工学科根路銘 葉月 助教です!

お母様の影響で幼い頃からアロマテラピーに興味を抱いていたという根路銘博士。

香りを愛し、科学し続けてきた根路銘博士の真摯な姿勢が伝わってくる講演でした。

講師の根路銘博士(中央)とお母様(左)、司会の吉岡博士(右)

 

根路銘 葉月博士のプロフィール

沖縄県出身。幼少期から自然を愛し、目標とする女性は”風の谷のナウシカ”。高専時代に母の影響でアロマテラピーに興味を持ち、植物からの有効成分抽出について学ぶことを決意。 大学で抽出技術を学ぶため、工学部に編入したものの、化学と 物理が大の苦手で、テストは赤点のオンパレードだった。 しかし、自分の好きなことを楽しみ、日々研究に没頭した結果、 博士号まで取得し、現在に至る。昔から何故かヘビが好き。

 

〜アロマテラピーの歴史〜

 アロマテラピーの起源は、古代エジプト時代まで遡ります。アロマテラピーが発展していく過程を、時代ごとに追っていきましょう。

 

 古代エジプトのミイラ作りにはアロマが使用されていました。体内の腐敗を抑えるために、内臓があった部分にミルラなどのアロマを詰めていたようです。今でもミイラを開くと、香辛料の香りが残っているというから驚きですね。

 

 また、古代ギリシャではローズマリーが頭のはたらきを良くするといわれていました。そのため学者達はこぞって頭に巻いていたそうです。

 

 そして、中世イスラムで錬金術が流行したことにより精油抽出が発展していきました。一方、中世ヨーロッパでは、リウマチに悩まされていたハンガリー王妃のために、ハンガリーウォーターが発明されたというエピソードがあります。ハンガリーウォーターはローズマリーをアルコールと共に蒸留したもので、これにより王妃のリウマチの回復と若返りが達成されたといいます。

 

 近代になると、さまざまな学者によりアロマの効能が科学的に証明されるようになりました。

  • ルネ・モーリス・ガットフォゼ(化学者)

合成香料の研究を行っていた。特に、ラベンダーには傷を癒す効果があることを発見。

”アロマテラピー”という言葉を確立した。

  • ジャン・バルネ(フランス軍医)

ラベンダーやティートリーの精油を用いてアロマテラピーによる治療をした。
この臨床試験によりアロマの効能が確かめられた。

  • マルグリット・モーリー(生化学者)

美容効果や精神系への影響に注目し、多くの功績を残した。

  • パオロ・ロベスティ

オレンジ・レモン・ベルガモットなど柑橘系の精油が神経症やうつ病への効果を発見。

  • 鳥居鎮夫(医者)

ジャスミン・ペパーミントには興奮、 ラベンダー・カモミールには鎮静を誘発する作用があることを発見。また逆に、リラックス効果のあるアロマを嗅ぎすぎると興奮状態になることを確認。

 

 このように、感覚的な効果にとらえられがちなアロマテラピーですが、実は長い研究の末、科学的に認められていたものだったのです!

 

 

~アロマの種類~

 

 これまでアロマとひとくくりにして呼んでいましたが、アロマは純度によって主に2通りに分けられます。

 

 まず、天然成分100%のものは、エッセンシャルオイル(精油)と呼ばれます。
エッセンシャルオイルには効能が期待され、香り以外にもお風呂入れたりマッサージにも利用することができます。


 一方、天然成分が100%ではない合成香料アロマオイルもしくはフレグランスなどと呼ばれ、香りのみを楽しむために用いられます。

 

 エッセンシャルオイルには必ず原産国や学名、抽出部位や抽出方法などの情報が記載されていますので、店頭でぜひご確認ください。

 

 

~精油の作り方~

 

精油の抽出方法には、以下のものが挙げられます。

  • 水蒸気蒸留法
  • 圧搾法
  • 溶剤抽出法
  • 油脂吸着法
  • 超臨界抽出法

 

今回は、この中でも根路銘先生の研究されている超臨界抽出法について簡単に紹介いたします。

 

 まず、超臨界状態とは、気体と液体が共存する状態のことです。超臨界抽出法では、二酸化炭素のような高い圧力をかけると液体になる気体を用いて、超臨界状態を作り出します。超臨界状態の物質は精油の成分をよく吸着するため、溶剤に適しています。溶剤に精油の成分を吸着させた状態で、かけていた圧力を弱めると、二酸化炭素のみ気化し精油のみが残ります。

 この方法では小さな分子まできれいに取り出すことができるため、他の方法よりも本来の状態に近い精油を取り出すことができるのです。

 

 ただし、超臨界抽出法では大規模な設備が必要となるため、コスト上の問題もあり、普及はもう少し先になりそうです。このような抽出技術に関する研究は、現在も活発に行われているようです!

 

〜アロマを語らう〜

講演後の座談会でも、

「アレルギーの心配はあるのか?」
「最先端の抽出技術で作られたアロマは市販されているのか?」
などなど、多くの方が質問されていました。

 

香りを嗅いで何の植物かを当てるクイズも盛り上がりました!

 

●次回のサイエンスカフェは…?

 

「宇宙のささやきを”聞く”!〜天文学の新時代を切り開く重力波〜」

 

九州大学基幹教育院佐合 紀親 助教を講師にお迎えして、

今話題の「重力波」に迫ります!!

 

4月15日(金)19:00から、BIZCOLI交流ラウンジにて開催致します。

皆さま、是非奮ってご参加ください! 

 

お申し込みはこちらのページです!

 

(森下)