第24回サイエンスカフェ@ふくおか 活動報告

みんなと”ミクロな水の世界”をつなぐ第24回サイエンスカフェ@ふくおかを開催しました!


第24回ポスター

 

 報告が遅くなってしまいごめんなさい!

 10月24日に行われた第24回サイエンスカフェ@ふくおかの様子を報告します!

 

 第24回のテーマは「ミクロな世界で水を見る!~コンピュータシミュレーションで見る水の動き~」でした。コップの中に静かに入った水。なんの変化も起きていないように見えて、実はミクロの世界ではすごいことが起きていました!!

 

今回もBIZCOLIさんの素敵なフロアをお借りして…

今回もたくさんの方にご来場頂きました!ありがとうございます!

 

 今回の講師は、九州大学理学部情報基盤室の久保田陽二博士!普段は研究だけでなく、九大理学部情報基盤室で理学部の広報活動等も行われていらっしゃいます。今回はご専門の「水のシミュレーション」についてお話いただきました!

久保田陽二博士のプロフィール

大学生の頃からずっと液体論の専門家がご近所に居る環境に育ちながらも、液体論は華麗にスルーして、非線形波動や量子ドットの研究をしてきた。九大、分子研を経て、現在は九大で水のダイナミクスを研究している。学生の頃はカレー部に所属し、他大学のインド部と交流を行うなど、カレーをこよなく愛している。しかし、辛いものと料理は嫌いなのが弱点。カレーは刺激を求めるものではなく味わうものだと自分を納得させることで自我を保つ。美味しくてあまり辛くないカレー屋さん情報を募集中!


コップの水は止まってる?

 

 さて、突然ですがみなさんの目の前にコップに入った水があります。水面は揺れていませんし、冷たくもなく熱そうでもなく静かに佇んでいます。このコップの中の水、止まっているでしょうか?

 「見ての通り止まっているだろう!」という方がいるかもしれません。しかし、実はこのコップの中の水は止まっていないんです。水が水素原子2つと酸素原子1つのH2O分子でできているというのは、みなさん中学校で習いましたよね?液体の中で分子は自由に動き回ることができます。コップの中の水ももちろん液体です。つまり一見止まっているように見える水も、分子というミクロの視点で見てみると動きまくっているのです!

 ここまでは、「それぐらい知ってる!」という声が飛んできそうです。では、氷は止まっているでしょうか?氷は固体ですから、さすがに止まっていると思いませんか?実は固体の氷ですら、分子のレベルで見れば止まっていません。液体や気体のように自由に移動することはできませんが、ある位置にとどまって振動しているんです。

 一見何の変哲もない水もミクロの視点で見れば激しい動きが繰り広げられているわけですが、直接その様子を見るのは難しい!というよりほとんど無理です!小さいし、動きは速いし。。どうにかしてミクロな水の世界を見ることはできないでしょうか。そう、それをコンピュータシミュレーションによって実現しようというのが久保田先生の研究なのです!

 

 

ミクロな水の世界

 

 実際に水の分子の運動をコンピュータシミュレーションで調べるとどんな様子なのでしょうか?会場では、久保田先生が用意されたシミュレーション結果の映像が紹介されました。みなさんは想像できますか?水ってさらさら流れるから自由に動き回るイメージですよね?実はそうでもないんです。実際は「ギッチギチ状態」。ぎゅうぎゅうに詰まってうごめいているんです。とてもさらさらと動くなんてできそうにないぐらい!映像をお見せできないのが残念!

 さて、コンピュータシミュレーションを通して水のミクロな挙動が分かったらそれで満足でしょうか?いえいえ、そんなことはありません。私達の身の回りにある水は、ほとんどが純粋な水ではありません。つまり、少なからず他の成分(ミネラルやさまざまなイオンなど)が含まれています。ということで本当に身の回りに普通にある水の本当の挙動が知りたいのなら、その他の成分も含んだ上でシミュレーションする必要があります。

 とは言っても、水の中の他の成分なんてほんのわずかですよね?そんな少しの変化で、純粋な水との間でなにか変わるんでしょうか?・・・実は、あるんです。それが何かというと、「イオンを含んでいる水のほうが電場に対する応答が早い場合がある」というもの。うーん、少し難しいですね。。「ちょっと不純物が入っている水のほうが電気に敏感に反応する」と言えば少し伝わるでしょうか?それで、それが分かったところでなんだって?そう思っている人いませんか?とんでもない!この事実が私達の身体の中の大事な働きを生み出しているかもしれないんです。それは、「筋肉の収縮」!身体の筋肉が収縮するのには、「アクチンフィラメント」というものとその周囲の水の働きが関わっています。その水に先ほど述べた、「不純物が入っている水のほうが電気に敏感に反応する」という性質が関わっているかもしれないのです!つまり、不純物を含んだ水の挙動をコンピュータシミュレーションすることで、筋肉の動きの謎が解けるかもしれないんです!

 

ミクロな水の世界を語らう!


 今回のカフェはちょっとハイレベル。それでもみなさん興味津々でした!

 講演後はいつものように先生との直接トークタイム!身近だけど知らないことが意外とたくさんな水の不思議についてたくさん質問が出ていました!


次回のカフェは?


 次回のカフェは九州大学農学研究院昆虫学教室の紙谷聡志 博士をお招きして、

「生物の謎に迫る!おもしろい昆虫たち」~標本と生態からわかること~

をテーマに昆虫の不思議に迫ります!

 開催は、12月12日(金) 19:00~21:00です!詳細はこちらのページ。申し込みはこちらから。みなさま、奮ってご参加ください!!


(古浦)